歯茎の病気のひとつとして知られている「歯周病」は、普段の歯や歯茎のメンテナンス状況が悪いと発症しやすくなります。ブラッシングなどがうまくできていないと。プラーク(歯垢)が歯と歯茎の間にたまっていきます。このプラークの中には歯周病の発生源となる歯周病菌がたくさん存在していて、歯周病菌が歯槽骨を攻撃していくことで歯周病が発生します。
歯周病は30歳以上の人の約8割がかかっていると言われる病気ですが、初期段階では自覚症状がある人はほとんどなく、ある程度進行してしまってから気付く、あるいは歯科医院での定期健診で見つかることも多いです。病状の進行は大きく分けると次の4段階に分けることができます。歯や歯茎の状態が気になる方はチェックしてみましょう。
・歯肉炎(初期段階)
最初は歯茎が赤く腫れている程度ですが、歯茎に炎症が起きている状態です。症状が進行すると歯茎から出血するようになり、歯に歯石が付いて歯周病菌が歯の周辺組織を攻撃し、歯茎だけでなく歯槽骨や歯根膜も破壊されていきます。
・歯周炎(中程度)
歯周炎がさらに進み中程度のレベルになってくると、炎症範囲がどんどん広がっていき歯茎の位置が下がってしまいます。知覚過敏や膿が出ることで口臭の原因になっていることも多いです。
・歯周炎(重症)
歯周病を放置して重症になってしまうと歯茎の腫れ・痛みがひどくなり、最終的に歯の神経が死に歯が抜けてしまいます。
歯周病は治療することが可能な病気です。歯周病治療は段階によってそれぞれ治療法が異なります。
・ブラッシング指導
歯周炎のときはまだ初期段階のため、ブラッシング指導で治ることが多いです。歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスなど患者さんにあった方法で指導を行います。歯周炎の場合でもブラッシングが苦手な方や、キチンとブラッシングができていない方へブラッシング指導を行うこともあります。
・スケーリング
スケーリングは軽度の歯周炎のときに行う歯周病治療です。歯に付着している歯石やプラークなどの歯周病の原因を取り除き、歯根面を磨くことで原因となる汚れが付着するのを防ぐ方法です。
・歯周ポケット掻爬(そうは)術
歯周ポケット掻爬術は中程度の歯周炎治療法で、局部麻酔を使用して行います。歯周ポケットの中にある歯石・膿などを取り出すとともに、炎症を起こしてしまっている歯肉部分も除去することで歯周病治療を行います。
・フラップ手術
フラップ手術は、重度の歯周病に対し行います。歯茎を切り開き歯根に付着している歯周病の原因となるものを除去すると共に、歯周病菌に汚染されている歯周組織も取り除きます。
歯周病にかかる人は多いのですが、普段から歯の磨き方に注意して定期健診で歯石やプラークを除去することで予防することが可能な病気です。